スタジオジブリ『風立ちぬ』はどこで配信している？無料で観るには？

どちらかというと大人向けな作品です。アニメーション映画で大人向け、ましてやジブリ作品で今までにないほどがっつり大人向けの作品です。ファンタジー要素などは一切なく、零戦を作る男のロマンと恋愛が描かれており見入ってしまいます。恋愛要素も今までのジブリよりもリアリティに描かれており、結核で色々な葛藤と苦しむヒロインの姿には胸を打たれました。当時の日本の健気な大和撫子の様子を見ることができました。宮崎駿監督が描く戦闘機や飛行するものにはいつも楽しみにしていますが今回地震の描写があり、恐ろしい地震の表現の仕方にも驚かされました。主人公の声優にはエヴァンゲリオンシリーズの庵野さんが起用されています。最初は気になりましたが当時のお堅い男の話し方をよく再現できてると思います。

ジブリ（特に宮崎駿監督作）では珍しくファンタジーではなくドキュメント作品だったため、辛辣な意見も多かったですが、私はとても胸を打たれました。本物のラブストーリーとして…。
まず、これは作り話なのではないかと思うくらい二郎さんと菜穂子さんの出会いが運命的すぎて、キュンとせずにはいられません。そして2人がお互いを本当に大切に想い合っていた点も感動的ですね。菜穂子さんが結核の体を押してまでも、喫煙者である二郎さんを求めたシーンなんか、「ああ、これが本気で好きって気持ちなんだよなぁ」としみじみと感じました。あの時の菜穂子さんの「来て！」との台詞が可愛らしくて、いじらしくて、そして情熱的で忘れられません。
約100年前当時の風潮と現実に翻弄されながらも、精一杯生きたお２人の人生にひたすら心が熱くなりました。

この風立ちぬは実在した人物をモデルにして描いたストーリーなので、話の展開にリアリティや説得力があり、見ていておもしろいです。近眼でパイロットになることをあきらめ、その代わりに飛行機の設計士になることを目指している堀越二郎の姿に魅力を感じました。しかし、時代は日本が戦争に向かっていたときなので、二郎はただの飛行機ではなくて戦闘機をつくることになってしまいます。戦闘機であっても必死になって、戦闘機を作ろうとする二郎の姿に心が打たれました。また二郎とその妻の菜穂子との深い愛情にも感動させられ、思わず涙ぐんでしまったシーンも少なくありません。戦争がどれほど多くの人の命を奪ったり運命を変えてしまったのかを改めて考えさせてくれるよい作品です。

他のジブリ作品と比べて少々異色というか、これは大人向けだなぁと率直に感じます。あえて多くを語らずに含みを持たせて、話が淡々と進んでいく、という感覚で終始鑑賞しました。いろんな人生を生きているいろんな大人が観ると、それぞれに感じること、想像することが違ってきそうだと思いました。とはいっても、キャラクターや乗り物、背景など、やはりジブリらしい作画で溢れていて、なぜだか懐かしさを感じたり、ちょっとした日常のシーンでも美しいなぁと感じたりしました。そういった感覚、特に大人のジブリファンは楽しめると思います。飛行機設計に関する丁寧な描写も好きです。全編通して派手なインパクトは無くとも、観終わった後、なんだかじーんと心に残るような感じがしました。